対象外と諦める前に【法人編】持続化給付金の特例について解説
給付が決定した持続化給付金ですが、申請の要件として2019年以前から事業収入を得ており今後も事業継続する意思があり、且つ2020年1月以降、新型コロナウィルスの影響で前年同月比の収入が50%以上減少した月がある事業者の方が給付対象とされています。
さらに給付金額の算定方法もきめられており通常の申請要件では給付対象者から漏れてしまったり給付額が極端に少なくなってしまう事業者の方も少なくないと思います。
そこで年未満の事業者など通常の申請要件では申請が行えない事業者などに対しても、様々な特例を設けて申請が可能となる特例措置があります。
特例について詳しく解説していきますので、ご自身が申請できないとあきらめてしまっていた方も特例で申請できる可能性がありますので是非チェックしてみてください。
新たな特例が追加されていますので詳しくはこちらをご覧ください。
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新しく設立した法人の申請に関する特例
2019年中に設立した法人は【創業特例】での申請が可能です!
通常の計算方法では2019年の総事業収入からの減少分より給付額が決定する為、2019年の操業月数が少ない新規創業者は計算上不利になります。
しかし創業特例では下記の特別な計算式を用いて給付金額を決定しますので創業月数が浅い事業者も不利にならないように配慮されています。
2020年の月間事業収入が、2019年の月平均の事業収入より50%以上減少している場合。( 月間事業収入は任意の月を選択します。)
(給付額)=(2019年の年間事業収入)÷(2019年の開業後月数※1)×12-(任意の対象月の月間事業収入)×12
※1 開業月は操業日数に関わらず1月で計算
① 対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告書類の控え (事業年度が複数にまたがる場合は、2019年中の全ての月間事業 収入がわかるものを提出すること)
② 対象月の売上台帳等
③ 通帳の写し
④ 履歴事項全部証明書 ( 設立日が2019年1月1日から12月31日のものに限る)
2019年度分の確定申告書類等が提出できない場合の特例
申請する際の提出書類の中に2019年分の確定申告書類の控えが要求されていますが、法人の場合は確定申告期限前などの理由でこれが提出できない場合や確定申告書別表第一の控えに収受日付印が押印されていない場合などに代替の書類を提出することで申請を行うことが出来ます。
また コロナウィルスの影響でや申告期限が延長されている場合も含みます。
2事業年度前の確定申告書類の控え又は税理士による押印及び署名がなされた、対象月の属する事業年度の直前の事 業年度の確定申告で申告した又は申告予定の月次の事業収入を証明する書類。 ( 様式自由)
(給付額)=( 対象月の属する事業年度の2つ前の事業年度の年間事業収入)―(対象月の月間事業収入)×12
申請書と提出書類とで法人名が異なる場合
社名変更等により、現在の法人名と証拠書類等の法人名が 異なる場合も、 法人番号に変更がない場合は、同一の法人 とみなし、通常の申請と同様に申請を行えます。
対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告書類の控え
対象月の売上台帳(様式自由)
振込用通帳の写し
ただし合併などで法人名が変更されている場合には別途必要な書類があります。
合併の場合は【合併を行った法人の特例】の項目をご覧ください。
月当たりの収入変動が大きい事業者の特例
一定の時期にのみ収入がある場合など、特定期間の事業収入が年間事業収入の大部分を占 める事業者の方は通常の算定方法では給付額が極端に少なかったり0円になる場合があります。
そのような事業者の方は一定の条件を満たすことで、こちらの特例で申請するが可能です。
①2020年の任意の1か月を含む連続した3か月(対象期 間)の事業収入の合計が、前年同期間の3ヶ月(以下「基準期間」 という)の事業収入の合計と比べて50%以上減少していること。
②基準期間の事業収入の合計が2019年の年間事業収入の50%以上 を占めること。ただし、基準期間が2018年にまたがる場合におい ても、基準期間の事業収入の合計が2019年の年間事業収入の50% 以上を占めること。
基準期間の属する事業年度の確定申告書類の控え ※基準期間が複数の事業年度にまたがる場合には当該期間の全ての 期間分
対象期間の売上台帳等
振込用通帳の写し
合併を行った法人の特例
事業合併等で新たに設立された法人に関する特例です。
条件として給付額を算定する際の収入減少を比較する2つの月の間に合併を行っていて、且つ2020年1月以降に合併を行っている法人が適用できる特例です。
合併前の事業収入総額は合併前の各法人の事業収入を事業年度分での総額ではなく2019年の総額を合計した金額です。
(給付額)=(合併前の各法人の2019年の年間事業収入総額)-(合併後の法人の対象月の事業収入)×12
合併前の各法人の2019年年中の年間事業収入がわかる確定申告書類の控えの全て ※2019年中に複数の事業年度が存在する場合は、2019年中の全ての月間事業収入がわかるもの
対象月の売上台帳等
振込用通帳の写し
履行事項全部証明書
連結納税を行っている法人の特例
連結納税を行っている法人は、それぞれの法人が給付対象の申請要件を満たしている場合、各法人ごとに給付申請を行うことが可能です。
これにより親会社が申請対象外となっている場合でも子会社が個別に受給できる可能性が出てきます。
なお、 給付額の算定方法は通常の申請と同様の計算式です。
連結法人税の個別帰属額等の届出書と法人事業概況説明書
申請する法人の対象月の売上台帳等
振込用通帳の写し
災害の影響を受けた事業者の特例
災害の影響で本来の収入より2019年の収入が低い場合などには2018年又は2019年の罹災証明書等を提出することで罹災した前年度の事業収入と比較して給付額を算定することが可能です。
また 罹災証明書は発行する地域によって名称が異ことがあるため、同義の書類であれば証拠書類等として認められています。
罹災証明書等の前事業年度の確定申告書類の控え
対象月の売上台帳等
振込用通帳の写し
2018年又は2019年に発行された罹災証明書等
法人成り(個人事業主から法人化)の特例
給付額を算定する際の収入減少を比較する2つの月の間に個人事業主から法人化を行っていて、且つ2020年1月以降に合併を行いっているが適用できる特例です。
この特例を適用する場合は法人成りしたタイミングによって上限額が変わり
2020年4月1日までに法人成りした場合は200万円
2020年4月2日以降に法人成りした場合は100万円
となります。
また2019年1月から12月の間に法人成りした場合はこの特例は適用できませんが、 創業した法人の特例では適用が可能です。
法人成りしたタイミングで適用する特例が違いますので申請の際は注意が必要です。
まとめ
コロナウィルスの影響は多くの経済活動に影響を及ぼしています。
通常の申請要件に当てはまらないイレギュラーな場合にも様々な特例を適用することで申請することが可能となる場合があります。
支給対象外と諦める前に事前に適用できる条件がないかを確認し、是非この給付金を活用してみてはいかがでしょうか。
2019年12月に起業しましたが、段階的(1月、2月)に事業を拡大し、部門の総売上としては、3月までは順調に推移していました。しかし、4月の売上が前3か月(1月~3月)の平均の1/2以下になり、持続化給付金を申請しようとしたのですが、昨年12月の売上と比べたら、他事業を追加した分、金額が上回っている状態です。弊社のように段階的に事業を追加した企業は対象外なのでしょうか。
行政書士の井上です。
コメントありがとうございます。
現在の申請要件には段階的に事業を追加した場合の規定がない為、あくまで前年度との対比で50%以上の減収がある必要があります。
ただ持続化給付金自体は令和3年1月15日まで申請が可能なので、4月以降に前年度50%以上の減収があれば申請対象となる可能性があります。