【申請代行受付中】2020年度「ものづくり補助金」の について解説
今年度も「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」が実施されています。 ものづくりと銘打っていますが製造業者だけではなくサービス業者などの幅広い事業者での活用が増えており、最大で1,000万円が給付される魅力的な制度です。 また2020年度より通年公募となり利用しやすくなったことも特徴の一つです。 本日は【ものづくり補助金】を前年度からの変更点を踏まえて解説していきます。
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ものづくり補助金概要
この制度は中小事業者のサービス開発や試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等にかかる費用の一部を支援するものとなります。
また次回の3次公募で公募されるのは 「 一般型(特別枠・事業再開枠を含む)」のみです。 海外事業の拡大・ 強化等目的とした「グローバル展開型」は次回以降の公募予定です。
以下の表にものづくり補助金の概要を簡単にまとめてみました。
項 目 | 要 件 |
対象事業者 | 日本国内に事業所を有する中小企業 |
補助金額 | 100万円~1,000万円 +50万円(特別枠の場合に限り、事業再開枠の上乗せが可能) |
補助率 | [通常枠] 中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3 [特別枠] A類型 2/3、 B・C類型 3/4 [事業再開枠] 定額(10/10、上限50万円) 設備投資 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | [通常枠] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
対象となる中小企業者
公募要領に記載されている中小企業の定義です。 下記表の資本金または従業員数にを超えてしまう企業は申請要件から外れてしまいます。
業種・組織形態(個人事業主含む) | 資本金(資本金又は出資の総額) | 従業員(常勤) |
製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
サービス業(下記を除く) | 5,000万円 | 100人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種 | 3億円 | 300人 |
補助対象事業
ものづくり補助金へ申請を行う際にはこれから行っていく事業計画の提出があり、この事業計画を補助対象事業と言います。 補助対象事業の策定にあたっては公募要領に定める要件に合致するテーマである必要があり、以下のポイントを抑える必要があります。
(1)は今年度の公募より新しく加わった要件の一つです。去年までは加点項目として似たような要件がありましたが 今年度は必須項目となりますので注意が必要です。
またすべての補助事業は補助期間内( 交付決定日より10か月以内)に、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きがこの期間内に完了する事業
特別枠と事業再開枠について
今回の応募類型には通常より補助率の高い【特別枠】と一定の要件を満たすと50万円が上乗せ給付がされる【事業再開枠】が存在します。
特別枠には下記のA・B・Cの3つがあり、それぞれ補助対象経費総額の6分の1以上が、以下のいずれか の要件に合致する投資である場合に特別枠での申請が可能となります。
A類型:サプライチェーンの毀損への対応 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと (例:部品が調達困難になったため部品を内製化、出荷先の営業停止に伴って新規顧客を開拓等)
B類型:非対面型ビジネスモデルへの転換 非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと (例:自動精算機・キャッシュレス端末の導入、店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンライ ンによるサービス提供等)
C類型:テレワーク環境の整備 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること (例:WEB会議システム等を含むシンクライアントシステムの導入等)
A型に該当する場合は補助率が 2/3、B型C型に該当する場合は 3/4へ補助率が変わります。
特別枠での申請で不採択となった場合は通常枠で再審査が行われますが、仮に特別枠が不採択の後、通常枠で採択された場合は補助率は通常枠ものが適用されます。
事業再開枠
補助事業を実施する上で必要となる業種別ガイドラインに基づいた感染拡大予防のための経費が50万円まで上乗せで給付されます。
具体的には飛沫を防ぐ仕切りや消毒液・マスクなどが該当しますが、消毒液やマスク等の消耗品は、補助事業実施期間終了までに使用し た分のみが補助対象となります。
その他の申請要件
以上が大まかな申請要件となります。
また今年度より大きな変更点がいくつかあり、賃上げ項目など申請要件に係る事項にも大きな変更点があります。
詳しくはものづくり補助金変更点まとめの記事を参照してください。
申請方法
今回のものづくり補助金は電子申請のみ受付を行っています。
前回までの電子申請はミラサポ上での電子申請システムを利用していましたが、今回はJグランツという補助金申請用システムのフォームに沿って必要事項を記入し、必要な添付書類のアップロードを行い申請します。
参考Jグランツとは?またJグランツを利用するためにはGビズIDを取得しなければなりません。
GビズIDの取得方法についてはGビズIDの取得方法などの解説をご覧ください。
申請時必要書類
申請の際には申請書の他に下記の書類が必須で必要となります。
①事業計画書
②直近2年間の決算書
③賃上げ計画の表明書
④導入設備の見積書(設備投資を行う場合)
①事業計画書
補助金の採択を決める重要な部分です。内容はフォーマットに沿って
(1)補助事業の具体的取組内容
(2)将来の展望
(3)事業計画における付加価値額等の算出根拠
をできる限り簡潔にわかりやすく記載します。
②直近2年間の決算書
補助金申請で添付する決算書は以下の書類となります。
貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書(作成している会社のみ)、販売管理費明細、個別注記表
1回も決算を迎えいていない法人は設立事業計画書等を提出し、個人事業主の場合は確定申告書を提出することとなります。
③賃上げ計画の表明書
事務局が指定する様式へ、直近の最低賃金と給与支給総額を明記し、これを引き上げる計画に従業員代表者(給与・経理担当、事業所内最低賃金で働く従業員等を含 む)が合意していることが分かる書面を提出します。
なおこの表明書の内容通りに賃上げに取り組まない場合は、交付金の返還などのペナルティーが科せられる場合があります。
④導入設備の見積書
対象経費に「機械装置費」を計上する場合に必要となります。
基本的には同じ形式の機械を2社から相見積もりを取得して添付することになりますが、 見積もり有効期限は必ず交付決定予定日以降の日付でもらうようにしてください。
交付決定日以前に有効期限が切れるものだと実際に採択された後に再度相見積もりを取得しなおす必要が出てきます。
また中古品も「機械装置費」に計上することが出来、その場合は3社から相見積もりの取得が必要です。
申請する際のポイント
公募要領には審査項目が明記されており、それによると以下の3点の内容を審査されます。
①事業化面:事業実施体制や市場ニーズの有無等
②技術面:取組内容の革新性や課題や目標の明確さ等
③政策面: 地域経済への波及効果とニッチトップとなる潜在性等
配点は非公表ですが、特に①と②は事業計画書内で根拠に基づいた具体的な数値などを明示しやすいことから特に重要な項目かと思われます。
①事業化面
申請事業を会社の体制や財務状況・市場規模や市場ニーズなどを総合的に見て適切に行っていけるかを説明していきます。
過去のものづくり補助金事業では、見込んでいたほどの成果が上がっておらず、今年度はより一層この事業化面を厳しく見ていく傾向にあると言われています。
対象事業のニーズや今後、事業として継続していく上での収支予測等は年密に策定する必要がありそうです。
②技術面
現状の自社の課題を明確にし、その解決方法を具体的に且つ目標を明確に設定できているかが審査の基準となります。
また補助事業で取り組む新製品・新サービスが 革新的な開発となっているかも大きなポイントです。
この「革新的」とは平たく言えば自社にとって新しい取組みの事ですが、他社や業界内での普及が既に一般化しているようなテーマでは「革新的」とみなされない可能性があります。
事業計画を策定する際には下記を参考にしてみてください。
まとめ
・電子申請のみの受付となるので事前にGビズIDを取得しておく必要あり。
・従業員への賃上げが必須となり、達成できない場合はペナルティーがある。
・事業計画では自社の課題を整理し、それに対してどのような解決方法があるかを意識する。