相続についての基礎知識
相続(そうぞく)とは、自然人の財産などの様々な権利・義務を他の自然人が包括的に承継することと定義されています。
明治憲法下では家督相続という制度が存在しましたが、これは家という単位を承継人一人が家長という立場ですべて相続する制度でした。しかし現在では廃止され個人相続のみとなっています。
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法定相続人は誰か?
民法887条と民法889条によって相続人になる人の範囲が決められています。
亡くなった方に配偶者がいる場合は常に配偶者は相続人となります。
なお子どもは実子だけではなく養子も含まれます。
第一順位:被相続人の子ども |
第二順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など) |
第三順位:被相続人の兄弟姉妹 |
なお相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされます。
また内縁関係の人(婚姻届けを出していない事実上の配偶者)は相続人に
含まれません。
相続財産は何が含まれるのか?
相続される財産は基本的には被相続人が亡くなった時点で所有してる一切の財産や権利義務のことです。
車や不動産などの動産や現金や預貯金、有価証券はもちろん借金やローンの残債の負の財産も承継されます。
相続財産の大まかな分類はいかのとおりです
プラスの財産 | マイナスの財産 | 相続の効力が及ばない |
・不動産(土地・建物) | ・借金やローン 等 | ・死亡退職金 |
・賃借権、借家権、借地権 等 | ・未払いの税金 | ・生活保護受給権 恩給請求 権 |
・現金、小切手、預貯金 等 | ・入院費、治療費 | ・使用貸借権、身元保証債務 等 |
・株式、公社関、手形 等 | ・保証債務 等 | ・委任契約、雇用契約などの内容 |
・宝石、貴金属、美術品 等 ・ゴルフ会員権 | ・ゴルフ会員権(会則に「会員が死亡した時はその資格を失う」旨の明記がしてある場合) | |
・電話加入権 |
借金を相続したら
各相続人には遺産を相続するだけでなく、相続を放棄することも可能です。
プラスの財産よりマイナスの財産があきらかに多い場合などは財産を放棄することでその債務などを一切背負う必要がありません。
この手続きを行うには家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出しなければならず、家庭裁判所に認められれば、「相続放棄申述受理通知書」が交付(送付)されます。
他には限定承認という相続方法があり、相続したプラスの財産より多いマイナスの財産の部分は返済の義務が生じません。
どちらの手続きも相続を知った日から3か月以内に申告する必要があり、期間を経過してしまった場合は単純承認したものとみなされてしまうので注意が必要です。