事実実験公正証書とは?

公正証書は遺言書や契約書などで作成されることが一般的ですが、それ以外にも公証人が直接見聞きした事実を公正証書に残すことができ、それが「事実実験公正証書」と言われるものになります。

これはどういう場合に利用されているかというと、相続発生時において、相続財産把握のため被相続人名義の銀行の貸金庫を開披し、その内容物を点検・確認したり、特許権が侵害されている状況を記録したりなど私権の得喪・変更に直接・間接に影響がある事実であれば、債務不履行、不法行為、法律でいう善意・悪意、物の形状、構造、数量ないし占有の状態、身体・財産に加えた損害の形態・程度なども含まれます。

すなわち、相続人の一人が財産を管理する立場にあった場合に相続発生時の財産状況をこの公正証書に残すことで、仮に裁判で使い込みなどが疑われた場合でもこれを証拠として使うことができます。

尊厳死宣言公正証書

さてこの事実実験公正証書の一つに「尊厳死宣言公正証書」というものが存在します。

これは公証人が嘱託人(公正証書を作る本人)から延命治療を望まない旨の宣言を聞き、その事実を公正証書として残しておくものです。

延命治療を受けるか受けないかは、第一に本人の意思が尊重されますが、延命治療が必要な事態が生じたと時に本人の意思を確認することは難しく、親族や医療関係者がその判断をすることになりますが、尊厳死宣言公正証書という形で自分の意志をしっかり残すことで望まない延命治療を拒否する意思表示をすることができます。

延命治療が一度開始されるとそれを途中で中断することは難しく、ご家族の経済的な負担も相当なものになります。

 

しかしながら医療現場では患者が生きている限り最後まで治療を施すという考え方に従い、生かすべく最後まで治療を施すことが一般的で、たとえ尊厳死宣言公正証書を残していたとしてもその意思通りなるとは限らない場合もありますので留意が必要です。

ですが近年、医師の尊厳死許容率は、9割を超えており、このことからすると、医療現場でも大勢としては尊厳死を容認していることが窺えます。

自分らしく生きる選択肢の一つとしてこのような制度があることを知って頂けたら幸いです。

尊厳死宣言公正証書作成のお問い合わせはこちらまで。

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