転売と古物商許可
巷ではソニーの最新ゲーム機である「playstation5(PS5)」が11月に発売が決まり、9月18日から予約受付がされたと話題になっています。
こういった注目の製品が発売されるたびに起こるのが「転売」による買い占め問題。中には組織的に買い占めを行って不当に高額な値段で販売する例もありたびたび問題視されたりしてます。
今回のPS5では早くも転売事業者による出品が行われているようですが、なんと正規販売価格の10倍以上の値段が付いていることで話題を集めています。
コロナの影響で小遣い稼ぎや実際に本業としてやり始める人が増えている転売ですが、継続して利益を出すために行うには古物商許可が必要となる場合があります。
ここで古物商許可と転売について説明していきたいと思います。
コンテンツ
古物商とは
古物商とは簡単に説明すると、中古商品(古物)の売買や、交換などを生業とする個人や法人のことです。また、中古品のレンタル業や、お客から預かった中古品を代わりに販売するような行為も古物商となります。
古物商として営業するためには、許可を取得する必要があり、古物営業法では営業形態により3つ営業許可に分類されていて、一昔前に古本屋などでネットオークションでの落札価格が高い商品を購入して利益を上げる、いわゆる「せどり」という行為もここでいう古物商の一形態と言えます
古物商許可が必要な場合
上記のように中古品の売買等を生業とする場合には許可が必要となり、この生業とは継続して利益を生むための活動です。
具体的には下記の表に該当する場合などに許可が必要です。
①中古品(古物)を買い取りそれを売却する場合。
②転売の目的で自分の所有物を他人の所有物を交換する場合。
③他人の所有物を売却し、その手数料をもらう場合。
④国内で買い取った中古品を海外で販売する場合。
⑤買い取った中古品を貸し出すことで利益を上げる場合。
⑥買い取った中古品を修理して売り出す場合。
等
上記の行為を実店舗で行うかネットで行うかは関係なく古物商許可が必要となってきます。
なお古物とは1度でも人の手に渡ったものが該当するため、ネットオークションでよく見る「新品未開封」も古物(中古品)です。
また古物商許可が必要となる場合は、販売する中古品を対価を出して取得することが要件となるので、例えば友達から無償で譲ってもらった場合や逆に引取り手数料をもらって引き取る場合などには古物商許可は不要となります。
PS5の転売に許可は必要?
今回の本題であるPS5の転売ですが、一見すると上記の要件に該当するように見えますが結論から言うと古物商許可は必要ありません。
絶対に必要ないというのは語弊がありますが、少なくともこのPS5はこれから販売店等から新品を購入する必要があり、古物商許可が必要となる「①中古品(古物)を買い取りそれを売却する場合。」に当てはまらないからです。
これは古物商許可の目的に盗品の流通を防ぐことがあるため、上記のように販売店から新品を購入する場合などには盗品を疑う余地がない許可取得が不要となっています。
ただし販売店から新品を購入し、人の手に渡った時点でそのPS5は古物となるので転売事業者から購入したものをさらに転売する場合などは古物商許可が必要となるので注意が必要です。
まとめ
・販売店から直接購入した新品を転売する場合には古物商許可は不要。
・1度でも人の手に渡ったら古物となる。
・転売品を転売するには古物商許可が必要。
これからPS5をはじめ供給が追い付かないような魅力的な製品が出てきた時に、転売などで利益を上げようと考えられている方もいるかもしれませんが、転売を始める前に一度、その取引が古物商許可が必要かどうかをしっかり確認する必要があります。
当事務所でもこの古物商許可に関してご相談や代行業務を請け負っていますので、お気軽にお問い合わせください。